今日は、借りた車で事故を起こした時のことについて、考えてみましょう。
借りた車と言ってもいろんなケースがあるんです。
誰が、どんな車を借りたかで、さまざま考える必要があります。
まず前提として、あなたは自動車保険を契約しているものとします。
ケース① あなたは、あなたのご家族とあなたの友人のご家族8人で友人の車で、遠出して遊園地に行きました。
行きは友人が友人の車を運転しましたが、帰りも運転させるのは悪いと思い、あなたが友人の車を運転しました。
交差点で対向直進車が来ていましたがいつもの自分の車の感覚で、右折できると思い発車しましたが、思いのほか加速せずに
対向車と衝突してしまいました。
この場合、あなたの自動車保険を使用することが通常かと思います。
ほとんどの自動車保険には、他車運転危険補償特約が自動セットされています。
借りた車で事故を起こした時に役立つ特約です。ちなみに特約料金はかかりません。
この特約にしたがって、友人の車をあなたの車とみなして補償してくれる特約です。
これで、事故相手への賠償は、問題ありません。
問題は、友人の車の損害をどうするかですね。
こちら側の過失が大きい事故になりますので、相手の過失分を相手に払ってもらっても、とうてい修理代が賄えません。
ここで、あなたの自動車保険の契約内容を調べてみます。車両保険の契約があるかどうか。
車両保険の契約があれば、友人の車をそれで修理する事が出来ます。
車両保険の契約がなければ、修理代と相手から賠償してもらえる分との差額をあなたが自腹を切ることになります。
ケース② あなたのお子さんが18歳になり晴れて自動車免許を取得されました。お子さんは大学へ進学し
大学近くのマンションで一人暮らしの生活です。ある日大学の友達とドライブに出かけました。車は大学の友達の車です。
あなたのお子さんは、車を運転したくて、友達に替って運転しましたが、運転技術が未熟でカーブを曲がり切れず
電柱に衝突し、車が大破してしまいました。
この場合、あなたの自動車保険の他車運転危険特約にしたがい、電柱を弁償することができます。
あなたの別居の未婚の子は補償を受けられる者に該当するからです。
では、友達の車はどうでしょう。
あなたの自動車保険が一般条件の車両保険契約付きであれば大丈夫です。車対車+Aの契約では補償されません。
ケース③ あなたのご家庭には1台車があり、自動車保険を契約しています。
このたび近くの親戚のご主人がご病気で入院されることになりました。親戚のご主人は車を保有しており自動車保険も
契約されています。親戚の奥様は免許を持ってないので、その車を運転する事はありません。
あなたは、車が2台あるとなにかと便利なので、入院している間貸してくれないかと尋ねると、車を動かしたほうがいいし
乗ってもらっていいですよ、と快く貸していただくことができました。
家庭に元からある車は奥様が買い物などに使用し、借りた車はあなたが通勤に使用していました。
あなたは、他車運転危険危険補償特約のことを知っていたので、事故を起こしても安心だと思っていました。
親戚のご主人は、思いのほか病状が重く入退院を繰り返し車を運転できない状況が続き、借り出してもう3カ月が過ぎていました。
ある日、あなたは通勤中に信号のない交差点で出会いがしらの事故を起こしてしまいました。
あなたは、警察を呼び、あなたの保険代理店へ報告しました。
契約上の車と相違していたので、他車運転特約で補償すべく、あなたと親戚のご主人から詳しい事情の聞き取りが行われました。
その結果、保険会社は、今回の事故については、補償対象となりません、と連絡してきたのです。
なぜでしょうか。借りていた車での事故なのにです。
実は、他車運転特約には、補償とならない場合が約款に記載されていて、それにあてはまると、保険会社が判断したのです。
約款によると、「常時使用する自動車を運転中の場合を除きます」と記載されています。
つまり、一時的に借りた車を補償するものであって、常に使用している車は補償対象外ということです。
常に使用しているとは、どれくらいの間使用していた場合を指すのか明確に示されていないではないか、との意見があります。
これは、過去の判例等に基づき、使用期間や頻度などを総合的に勘案して保険会社が判断しています。
期間の目安は3カ月です。3か月を超えると一時的に借りていたとは言えず、常時使用と認定される可能性が高くなります。
よく考えると当たり前のことなんです。これがまかり通れば、悪意を持って他車運転特約を利用する人が出てきてしまします。
例えば、こんな感じです。
Aさんは、奥さんと子供の分を合わせて3台の車があると助かるなと思いました。しかし、子供は18歳で自動車保険料が割高です。
そこで、友人のBさん、Cさん名義で車を買い、奥さんと子供はBさんとCさんから車を借りていることにするんです。
Aさんの1台だけに自動車保険契約をすればいいし、2台分の保険料が浮きます。事故の時は他車運転特約を使えばいいだろう。
こんな悪知恵は通用しないようになっています。
それでも、Bさん、Cさんと口裏合わせすればいいじゃん、って人がいます。
保険会社は、そんなに甘くありませんよ。厳しい調査をすり抜けることは至難の業です。
よって、今回は親戚のご主人の自動車保険を使用させてもらう形となります。
もちろん本人限定など運転者の限定条件が付いていて、使用できない場合は責任分を自腹で弁償となります。
他車運転危険補償特約にはほかにも条件がありますので、
ご自分で判断されずに、契約している代理店か保険会社に確認をしてくださいね。