ついに佐川宣寿前国税庁長官が国会招致される見通しとなりました。
森友学園への国有地売却に関する決裁文書を改ざんしていた問題で
当時、財務省の理財局長だった佐川氏が国会で追及されるようです。
国税庁長官も辞任し(実際は辞任させられたのか)トカゲのしっぽ切りとも言われていますが
真相が明らかになるのでしょうか。
また、大阪地検特捜部は、市民団体からの告発を受理し、
佐川氏や近畿財務局職員の捜査が開始されているようです。
佐川前国税庁長官は、どんな罪に問われる可能性があるのでしょうか。
また、その容疑により逮捕されることもあるのでしょうか。
検証してみました。
虚偽公文書作成罪の可能性
虚偽公文書作成罪とは、簡単に説明すると
公務員がその職務において、虚偽の文書、画像を作成したり、変造したりする罪です。
刑法156条に定められています。
有印公文書の場合、法定刑は、1年以上10年以下の懲役と定められ、罰金刑が無く重い罪と言えます。
量刑相場は、懲役1年~1年6月 執行猶予3~4年でしょうか。
昨年、佐川氏は国会の答弁で、森友学園側への国有地売却は、「適性に行われた」
と、説明を繰り返していました。
しかし、その後、国会答弁に沿う形に公文書を改ざんしていることが判明したのです。
森友学園との土地取引は、「特例」との記述を削除したり、
土地評価をする前に、森友学園側と事前の価格交渉をしていた、とする記述も削除されています。
このように、正しい内容にするために削除するのではなく、削除して嘘の内容になっていることがこの罪に該当します。
国会で嘘をついたことに合わせる形に都合よく公文書を虚偽の内容に改ざんしていたんですね。
公用文書等毀棄罪の可能性
公用文書等毀棄罪とは、簡単に説明すると
公務所が事務処理等で保管している文書や電磁的記録を破壊する罪です。
刑法258条に定められています。
法定刑は、3カ月以上7年以下の懲役です。罰金刑も無く重い罪と言えます。
佐川氏は、国と森友学園側との交渉記録を廃棄したと国会で答弁していましたが
その資料が発見され、虚偽答弁と指摘されました。
その交渉記録の一部について、削除箇所がいくつもあります。
削除をして嘘の内容になっているのであれば、先ほど指摘した、虚偽公文書作成罪。
内容が嘘と言えない場合は、この公用文書等毀棄罪ということになります。
交渉記録の一部を廃棄していたとしたら、それも同様の罪となるでしょう。
余談ですが、例えば交通違反をして、警察官が違反切符を作成している途中で
その違反切符を故意に破り捨てるなどした場合も、公用文書等毀棄罪が適用されます。
証拠隠滅罪の可能性
証拠隠滅罪とは、簡単に説明すると
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅、偽造、変造する罪です。
隠滅は、証拠を破壊する、隠す、証人を隠すことです。
偽造は、実在しない証拠を作り出すことです。
変造は、実在の証拠に変更を加えることです。
刑法104条に定められています。
法定刑は、2年以下の懲役または20万円以下の罰金です。
佐川氏は、国会の答弁で、
森友学園側との面談記録について、「紙もPCのデータも廃棄した。PCのデータは復元できないシステムだ」
と言っていました。
不当に安く国有地を売却して、国に損害をもたらした近畿財務局の担当者は、背任容疑が掛けられています。
その近畿財務局の担当者の刑事事件の証拠を、廃棄したとか、復元できないなどと言っている佐川氏は
証拠隠滅罪の嫌疑があるということです。
佐川宣寿前国税庁長官が逮捕される可能性
逮捕される可能性があるという意見も多く、逮捕が妥当ではないでしょうか。
逮捕が必要となるのは、次のおそれがあるかを、検討し判断されます。
佐川氏に当てはめて、検討してみます。
① 被疑者が逃亡するおそれ
佐川氏は国税庁長官に就任した時から現在に至るまで表にほとんど出ず雲隠れしています。
居場所が把握しにくいのは、逃亡のおそれがあるとも言えます。
また、近畿財務局の職員が自殺しています。
佐川氏についても、このような状況に追い込まれていることから、自殺する可能性もあります。
それを避けるためにも逮捕が必要と判断される可能性はあります。
② 被疑者が罪証を隠滅するおそれ
佐川氏は、証拠隠滅罪でも告発されています。
今までの経緯を見ても、罪証を隠滅するおそれは明白です。
まとめ
森友学園との土地取引に関する決裁文書の書き換えが明るみになり、
佐川宣寿前国税庁長官には、
虚偽公文書作成罪
公用文書等毀棄罪
証拠隠滅罪
容疑が指摘されており、市民団体による告発状が
大阪地検特捜部に受理されています。
すでに捜査が開始されていると思われます。
佐川氏は、今までの経緯から、居場所が特定しにくかったことや
自殺のおそれもあり、
また、証拠隠滅罪の嫌疑もあることから、
逮捕の要件に該当する可能性があります。
森友学園との土地取引に関する重要なキーパーソンですので、
大阪地検特捜部はしっかり捜査をしていただき、この問題の本質に迫る足がかりとなることを切望します。