先日、悲しいことがありました。
わたしが、自動車保険の契約をいただいているお客様からこのように連絡がありました。
昨夜、飲酒運転をして、走行中居眠りをしてしまい、
ガードレールと道路標識を壊してしまったんです。
あと、車も横転して、もう乗れないかもしれません。
車両保険掛けてますけど、どうなりますか?
そのとき、警察が呼んだレッカー車で運ばれたんですけど、
レッカー代は後日請求する、と言われました。
そして、今日になって、体のあちこちが痛いんですけど、病院に行ってもいいですか。
保険金は支払われますか?
この事故について、保険金の支払いと、自動車保険契約がどうなるか解説します。
お客様は、ガードレールと道路標識を壊しています。
これについては、通常通り保険金は支払われます。
保険会社が示談交渉もするので心配ありません。
後日、道路標識は、約23万円、ガードレールは、約28万円
掛かりましたが、滞りなくお支払いしています。
被害者には、何の落ち度もありません。
保険金が支払われなかったら、大変ですので、被害者保護の観点から
対物保険金や対人保険金は、支払われます。
補償されませんよ。
当然と言えば当然ですね。
約款上の免責事項に規定されています。
怪我の保険は、掛かった治療費や休業損害、慰謝料をお支払いする
人身傷害保険が普通、標準で契約されていますが、その保険です。
もしも、同乗者がいて、同乗者も怪我をしている場合、
対人保険や人身傷害保険で補償されますので同乗者は大丈夫です。
当然ですが、補償されません。
自分の車は、たとえ車両保険を契約していても、保険金は支払われません。
このお客様の車は、屋根まで損傷しており、廃車となりました。
この点に関しては、飲酒運転の本人も当然に理解していらして、後悔されていました。
こちらに関しても、補償されません。
これも飲酒運転本人に関する保険金支払いですので、免責です。
ロードサービス関係も補償されなくなるということです。
ほかに、代表的な特約は、レンタカーの無料貸し出しがありますが、
この補償も受けれません。
後日レッカー代は、28,000円ほど請求されて払われたそうです。
このお客様の自動車保険は1年更新です。
事故から3カ月後に満期が来るのですが、自動車保険の引き受けは謝絶となります。
つまり、更新できませんので、自動車保険は切れることになります。
基本的には謝絶なのですが、お客様が強く更新をご希望される場合は、
稟議案件となります。
わたしが、その旨を保険会社の担当社員に申請し、稟議が通れば、
対人対物についてのみ特別に引き受けが認められることもあります。
飲酒運転本人に関わる車両保険や人身傷害保険の補償は、
いかなる場合も引き受けはできません。
保険会社は、交通事故の被害者を保護するという社会的な責任を負っていますので
自動車を運転する本人の希望を無視して引き受けを
100%断るとまではできないのが現状だからです。
もし万一、保険会社が引き受けをせず、死亡事故でもあったとしたら、
保険会社が社会的に非難されることは想像に難くありませんから。
では、この飲酒運転本人が更新時に、
車両保険や人身傷害保険も契約したい場合はどうしたらいいでしょうか。
あまり大きな声で言いたくはありませんが、簡単です。
保険会社を変えればいいんです。
保険会社同士が情報を交換共有するのは、等級に関係する事項です。
お客様の事故の内容はトップシークレットの個人情報となりますので、
第3者に漏れることはありません。
自動車保険契約時の告知事項にも当てはまりませんので、
告知をする必要もありません。
よって、保険会社を変えれば普通に契約できます。
ただし、事故内容の告知が不要なだけで、事故で保険を使用したことは
告知事項ですから、告知が必要です。
黙っていても情報交換制度から発覚します。
あくまで、飲酒運転による事故とまではわからないだけですよ。
しかし、その飲酒運転の事故で等級がデメリット(1~5)等級となる場合は
引き受けをするかどうかは、その保険会社の関係者の考え方によって変わります。
他社からの切り替えで、1等級の場合は、引き受けの可能性は極めて低いです。
飲酒運転の事故で、補償されるのは、対人対物の相手に関する保険です。
車両保険や人身傷害保険、レッカー代などの飲酒運転本人が受け取る補償に関しては
免責となり保険金は支払われません。
また、満期後のその保険会社での自動車保険契約は基本的に謝絶となります。
いいことは一つもありません。
飲酒運転の事故が無くなることを祈るばかりです。