こんにちは。保険代理店のこーです。
今回は、非常に問い合わせの多い自動車保険の他車運転特約について、
具体例を挙げながら、補償対象となるか否かの考察やその他の留意事項について書きます。
この内容は保険会社の損害課に確認しておりますが、保険会社の損害課によって、
考えが違う可能性もありますので、ご了承ください。
詳しくは、あなたが契約している代理店に問い合わせてください。
事例1 駐停車中の事故
あなたは独身の大学生で友人と二人で観光地に遊びに行くことになりました。
あなたも友人も車を持っていないのですが、友人の家族の方が車を持っていて、貸してくれることになりました。
あなたの実家には車両保険一般条件付きの自動車保険を契約している母親がいます。
友人は運転に不慣れなので、あなたが運転する事になりました。
観光地に行く途中、片側二車線の左側を走っていましたが、道端の自動販売機でジュースを買うために
ハザードランプを点けて、車を停車させました。
あなたはジュースを買うために運転席のドアを開けたところ、あなたの車の運転席側後方から走ってきたバイクが
ドアに衝突してしまいました。バイクの方は投げ出され怪我をし、バイクも破損しました。
また、友人の家族の車のドアも破損してしまいました。
バイクに対するあなたの過失分と友人の家族の車の修理代は、どうやって賄ったらよいでしょうか?
正解は、もしも友人の家族の車に任意保険があるなら、その任意保険を使用させてもらうことで賄います。
友人の家族の車の任意保険に車両保険が付いていれば、ドアの破損も修理できますが、
車両保険がなければ、その任意保険での修理はできません。
また、友人の家族の車の任意保険の運転者の条件が家族限定となっていたら、あなたは他人ですので
そもそも友人の家族の車の自動車保険は使用できません。
ここで、疑問に思いませんでしたか?
あなたの実家の母親の自動車保険の他車運転特約が使えるんじゃないかと。
そうですね。あなたは、別居の未婚の子ですから、他車運転特約の記名被保険者となりえます。
しかし、今回のケースでは、免責のケースにあたり、他車運転特約は使えません。
なぜでしょうか?
それは、友人の家族の車を、“運転中”ではなかったからです。
他車運転特約は自ら運転者として運転中という条件付きです。車の駐車または停車中は補償の対象外です。
約款で、運転中とはどんな行為を指すかが詳しく規定されていますので、興味のある方は約款を見てみてください。
ちなみに例えば、交通渋滞、信号待ち、踏切での停止は、運転中とみなされるので大丈夫です。
それでは、次の事例を見てみましょう。
事例2 仕事中の場合
あなたは建設業を営む自営業者さんです。
元請け業者さんから仕事を請け負って、下請け業者としてある工事現場で仕事をしています。
その工事現場では、元請け業者さんの所有する自動車や同業者の下請け業者さんの自動車があります。
あなたは、仕事の都合上、元請け業者さんの自動車や同業者の自動車を運転する事があります。
それでは、あなたがそれらの自動車を運転中に事故を起こしてしまった場合、
あなたの自動車保険の他車運転特約は使えるでしょうか?
すべての自動車とも他車運転特約が使える用途車種の自動車とします。
解説します。
まず、大前提の話からいたします。
自動車保険は、大きく2つの種類があります。
ひとつは、自動車を仕事のみで使用するための自動車保険
もうひとつは、自動車をプライベート、またはプライベートと仕事で使用するための自動車保険
もしも、あなたが契約している自動車保険が、仕事のときのみ使用する自動車のための保険で
且つその自動車保険の記名被保険者が個人でなく法人である場合は
他車運転特約は約款の適用条件に当てはまりませんので、使えません。
自営業者なら、仕事のみに使う自動車保険でも記名被保険者は個人ですから大丈夫です。
記名被保険者が法人の場合は、適用条件を狭くしている臨時代替自動車補償特約という特約を付けることはできます。
これは、法人の車を整備、修理、点検等のために整備工場に預けている間に臨時に借りた車にのみ適用されます。
ですので、仕事のみに使う自動車保険で記名被保険者が法人なら、友人に借りた車等は補償対象外となります。
それでは、先ほどの例に戻ります。あなたは個人の自営業者でプライベートでも自動車を使用するための自動車保険を契約しているものとします。
同業者の下請け業者さんの自動車を運転している場合の事故はどうでしょう。
はい、問題ありません。臨時に借りた車ですし、普通に他車運転特約は使えます。
次に、あなたが仕事を請け負った元請け業者さんの自動車を運転中はどうでしょう。
結論から言うと、この場合も大丈夫です。他車運転特約は使えます。
気になるのが、約款を見ると、被保険者の使用者の業務のために、その使用者の所有する自動車を運転している場合は
保険金を支払わない、としています。
しかし、あなたと元請け業者さんとのあいだに雇用関係もありませんし、元請け業者さんは使用者ではないからです。
ですが、あなたがどこかの会社に雇用されている会社員の場合、会社の車を業務のために運転しているときは
あなたの自動車ではありませんが、他車運転特約は使えませんよ。
わかりくい例があれば、自己判断せずに、あなたが契約している保険代理店に問い合わせてください。