宮本浩次(エレファントカシマシ) が、
ソロプロジェクトとして、2019年2月
新曲「冬の花」を配信リリースします。
同楽曲は、カンテレ、フジテレビ系
木村佳乃主演の火曜ドラマ
『後妻業』(ごさいぎょう) 主題歌
になっています。
今回は、「冬の花」の
歌詞の意味を考察し解説します。
「冬の花」の歌詞の意味については、
親しみやすくするために
主人公の言葉や気持ちを
代弁する形をとっています。
MV (YouTube動画) は
歌詞の下に設置しています。
ぜひ歌詞をご覧になって
歌ってみてくださいね。
それでは、さっそく見ていきましょう。
宮本浩次(エレファントカシマシ)「冬の花」歌詞
冬の花 作詞 宮本浩次
作曲 宮本浩次いずれ花と散る わたしの生命
帰らぬ時 指おり数えても
涙と笑い 過去と未来
引き裂かれしわたしは 冬の花あなたは太陽 わたしは月
光と闇が交じり合わぬように
涙にけむる ふたりの未来
美しすぎる過去は蜃気楼旅みたいだね
生きるってどんな時でも
木枯らしの中 ぬくもり求め 彷徨(さまよ)う泣かないで わたしの恋心
涙は“お前”にはにあわない
ゆけ ただゆけ いっそわたしがゆくよ
ああ 心が笑いたがっているなんか悲しいね 生きてるって
重ねし約束 あなたとふたり
時のまにまに たゆたいながら
涙を隠した しあわせ芝居さらば思い出たちよ
ひとり歩く摩天楼
わたしという名の物語は 最終章悲しくって泣いてるわけじゃあない
生きてるから涙が出るの
こごえる季節に鮮やかに咲くよ
ああ わたしが 負けるわけがない泣かないで わたしの恋心
涙は“お前”にはにあわない
ゆけ ただゆけ いっそわたしがゆくよ
ああ 心が笑いたがっているひと知れず されど誇らかに咲け
ああ わたしは 冬の花胸には涙 顔には笑顔で
今日もわたしは出かける
宮本浩次(エレファントカシマシ)「冬の花」歌詞の意味を解説
満開の桜の花が、いっきに散ってしまうように、
いつかは潔く息絶えるって知ってるよね? 私の命。
だから、ねぇ、聞いて、私の命。
手遅れになる、その前に。
思い出を、いくつもいくつも並べたところで、
帰れないって、知ってるよね。戻れないって。
ねぇ、思い出してみて。
笑顔だけじゃなかったよね? 涙もいっぱいあったよね?
それでも馬鹿のひとつ覚えみたいに、過去を恋しがるの?
そんなんだから、過去と未来に引き裂かれちゃうんだよ。
雪の降る中で咲かなきゃいけない、冬の花のように。
生きていることが、時々とても、哀しくなるのはきっと、
時が過ぎて、磨かれて輝いた記憶ばかり恋しがるからだよ。
何度も何度も、いくつもいくつも、
ふたり同じ約束を重ねてきたよね。
あなたと、たったふたりで、
時なんて、勝てっこない相手に、
持ち切れない刃を、悪戯に振り回していたね。
泣いてる自分を知っていたのに、
幸せなふりを、していたね。
ねぇ、恋心。そうとわかったら、
力強く、さよならしようよ、
心を縛る、思い出たちに。
空を削る者たちの、隙間をたった一人で歩く、
私だけの物語の、最後の幕が、今上がるから。
泣いてなんていられないよ。
私の恋する気持ちは、まだ大丈夫。
私の恋する気持ちに、涙なんて似合わない。
だから、歩き出そうよ。
まっすぐに、前を向いて、
ただただ、歩いて行こう?
ねぇ、恋心、あなたが行かないなら、
いっそ私が行ってあげるよ。前を向いてね。
ほら、心だって、笑いたいって、言ってるじゃない!
哀しくて、泣いてるわけじゃないんだよ。
この涙の意味は、生きてるって事なんだよ。
だから私は、凍える寒さになんて負けないで、
誰より鮮やかに、美しく、咲いて見せるよ。
負けたりなんて、しちゃいられない!
誰に見てもらいたいわけじゃない。
私は私のために、誇らしく咲くの。
私は、誰もが枯れ急ぐ中で咲く、冬の花なんだから。
顔で笑って心で泣いて、
それでも私は、今日を生きている。
ねぇ、私の命。力強く、生きていこうね。
最後に
エレファントカシマシの宮本浩次さんを
見るたびに思うことがある。
不器用そうな会話や、
話す人を瞬きもしないで見つめる姿に、
人と馴染めずに苦悩してそうに、思える。
「歌ってさえいられれば、それでいいのに…」
そんなつぶやきが、聞こえてきそうな気がする。
その印象は耳の病気による活動休止期間の後、
なおさら強くなっている。
「もう、死んでもいい」
歌う宮本さんは、そう思っているんじゃないかと
錯覚してしまうくらい、いつも必死に歌う。
歌うために、生きているみたいに。
この歌は、
そんな宮本さんの、不器用な人たちに対する、
心のこもった、優しい、励ましの歌だと思う。